総入れ歯にかかる費用はどのくらい？
総入れ歯とは、むし歯や歯周病などの原因で上下どちらかの歯をすべて失い、自分の歯が1本も残っていない場合に使われます。総入れ歯は、歯ぐきの土手部分である「顎堤（がくてい）」という粘膜と入れ歯の間に唾液が入り、その粘着力で義歯を維持します。これは、二枚のガラス板の間に水を一滴たらして合わるとくっつくのと同じメカニズムです。また、取り外しが簡単にできますからお手入れがしやすく、お口を清潔に保ちやすいのもうれしいですね。失った歯を放っておくと、全身の健康にも悪い影響を及ぼす可能性も。総入れ歯で歯を補い、しっかり噛んで栄養を摂り、生活の質を上げることにつなげていきましょう。
総入れ歯には、使用する素材や治療法によって保険診療と自由診療の2種類に分かれ、自由診療ではさらに細かく選ぶことができます。ここでは、総入れ歯にかかる費用とそれぞれの特徴について、みていきましょう。なお、費用はお口の状態やご要望、また負担の割合によって変わりますので、ご了承ください。
保険診療の総入れ歯の費用
レジン床義歯【約3000円～1万円】
保険適用の入れ歯は、使われる素材や形態が決められています。そのため、比較的短い治療期間で安価に製作することができます。また、使っているうちに合わなくなってくるお口との調整がしやすいのも、メリットといえるでしょう。
歯ぐき支に直接当たる部分（義歯床）には、レジンというプラスチックが使われています。プラスチックは、強度に劣るため、2ｍｍ以上の厚さ（金属床の約３倍）の確保が必要とされています。そのため、お口に入れたときに異物感や、発音しづらさを感じることがあります。また、レジンは熱が伝わりにくいので、食べものや飲みものなどの味覚の感じ方に影響が出る可能性があります。強度面で金属に劣る分、患者様の義歯床を薄くするご要望に対応した結果、義歯の破折を繰り返してしまったり、半年ごとに作り替えることが必要になる方もいらっしゃいます。
自由診療の総入れ歯の費用
保険診療との違いは、使える型取りの材料や義歯に使用する素材等の選択肢が広がることです。そのため、お口の状態をはじめ、見た目や装着感、また患者様のライフスタイルに合わせて選ぶことができます。
ですが、素材や治療法がより精密に、また着け心地が快適になる一方で、治療や製作に時間がかかり、費用は高くなる傾向があります。時間とともにお口に合わなくなってきた場合の調整がしにくいのも、デメリットといえるでしょう。
シリコン義歯【約30万円～50万円】
保険診療の入れ歯を応用し、歯ぐきを支える床の部分にやわらかいシリコンを使用した入れ歯です。シリコンが歯ぐきに密着するため、しっかり噛めるのが特徴です。また、クッション性があり、噛んだときの衝撃を分散してくれますから、固いものを噛んでも痛みが出にくいでしょう。噛む力を受けやすい下顎だけをシリコン義歯にすることも可能です。
吸着しやすいシリコンは、お口の汚れも付きやすくなります。毎日のお手入れをしっかりと行い、お口を清潔に保ちましょう。
金属床義歯（コバルトクロム床・チタン床）【約23万円～60万円】
保険診療の入れ歯を応用し、歯ぐきを支える床の部分を金属に置き換えた入れ歯です。
金属は強度が高いので、薄く作ることができます。また、加工がしやすい素材ですから、歯ぐきにしっかり密着する入れ歯を作ることが可能です。そのため、お口に入れたときの異物感や発音の影響も少なく、快適に装着していただけるでしょう。
また、金属は熱伝導率が高く、食べものや飲みものの温度が伝わりやすいので、味覚への影響が少ないのも特徴です。表面に汚れや細菌が付きにくく、お口を清潔に保ちやすいのも、うれしいポイントですね。
床に使われる金属には、主にコバルトクロム金属とチタンがあります。チタンの方が装着感は軽く、より快適な着け心地を得られますが、そのぶん費用が高くなる傾向があります。
インプラント義歯(オーバーデンチャー)【約80万円～120万円】
2～4本のインプラントを入れ歯の支えとして顎の骨に埋め込み、その上に入れ歯を装着します。インプラントでしっかり固定するので義歯が動いてしまったり、入れ歯が外れたり、浮き上がりにくくなります。また、噛むことによって適度な刺激を与えるので、顎の骨が退化していくのを防ぐ効果も期待できます。取り外しができますから、お手入れがしやすいのも特徴です。通常のインプラント治療と比較して、インプラントの埋入本数が抑えらる傾向にあり、顎の骨の条件が悪くても対応できることも多いため、費用や治療期間、身体への負担が少ない治療法です。
インプラントを埋め込むために、外科手術が必要になります。お口の状態によっては、治療完了まで時間がかかる、または治療をお受けできない場合もありますので、医師にご相談ください。
総入れ歯には、保険診療・自由診療ともに、メリットとデメリットがあります。まずは、歯科医院にてご相談いただき、お口の状態や入れ歯に対するお悩み、ご要望、ライフスタイルなどをお聞きしたうえで、一人ひとりに合った入れ歯をご提案いたします。また、他の歯科医院で作られた入れ歯の調整や補修もいたしますので、お申し付けください。
失った歯を総入れ歯で補うことは、食べものをしっかり噛めるようになるだけでなく、全身の健康を保つためにも大切なことです。お口に合った総入れ歯で食事を楽しみ、毎日をイキイキと健康に過ごしましょう。
午前診療時間:10:00〜13:30
午後診療時間:15:00〜19:00
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甲府向町歯科 院長 磯部 明夫