歯垢がたまる原因と治療法
「歯磨きを毎日しているのに、歯垢がたまっている」と言われるなど、歯垢がいつの間にか、たまっていたという記憶はありませんか。
じつは、歯垢は歯ブラシだけでは取り除けないため、徐々にたまるのです。
今回は、歯垢がたまる原因と治療法を説明します。
歯垢(プラーク)ってなぜ歯にたまるの?
歯垢は、ただの汚れではなく、プラークと呼ばれる細菌の塊です。食べかすや磨き残した汚れを餌に、細菌が増殖し、食後8時間程度で歯垢になります。見た目は、黄白色で粘り気があります。
「え?でも、歯ブラシでしっかり歯を磨いているのに……」と、歯垢がたまるのを不思議に思う方がいるかもしれません。
歯垢を取り除くには、基本は歯ブラシです。しかし、歯と歯の間の汚れは、歯ブラシでは半分程度しか落とせていないのです(出典[https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-031.html]:厚生労働省 プラーク/歯垢より)。
歯垢をできるだけ歯磨きでその日のうちに落とせるように、歯ブラシだけではなく、歯間ブラシやデンタルフロスなどの清掃補助用具を併用しましょう。
さらに放置しておくと、歯垢は唾液中のミネラル成分とくっついて、2日程度で硬い歯石に変化します。歯石になると、歯ブラシで落とすことは不可能です。
歯垢(プラーク)がたまりやすい人の習慣
歯垢がたまりやすい人はいます。当てはまる項目があれば、生活習慣を見直してみましょう。
間食が多い
毎食後に歯磨きをしていても、間食を摂っていれば、歯垢は形成されます。さらに、時間を決めずに、だらだらと食べ続ける間食の摂り方であれば、なおさら歯垢はたまりやすくなります。
磨き残しがある
歯ブラシだけの歯磨きは、歯と歯の間の歯垢を落としきることができないため、歯間ブラシやデンタルフロスを使用しましょう。当院では、患者様に合う清掃補助用具の使い方を説明させていただきます。
また、テレビを見ながら、お風呂に入りながら歯磨きをする「ながら磨き」は、磨き残しが多くなりやすくなります。しっかり磨いているつもりでも、同じ場所ばかり磨いて、全然磨けていない部分がある可能性があるからです。
磨く順番をブロックごとに決めて、鏡で確認しながら磨くと磨き残しを減らせます。
甘いものをよく食べる
おやつに、あめやケーキなど「砂糖」を多く含む、甘いものを好んで食べる方は、歯垢ができやすいお口の環境になっています。
理由は、
むし歯の原因菌であるミュータンス菌が「砂糖」を原料に、歯垢のネバネバの原因である「グルカン」という物質を作るからです。
やわらかいものや粘り気のあるものをよく食べる
唾液の働きである自浄作用により、歯についている食べかすや磨き残しはある程度、取り除かれます。
しかし、パンやキャラメル、チョコレートなど、やわらかいものや粘り気がある食べものは、歯に残留しやすく、自浄作用で取り除きにくいため、歯垢の原因になります。
歯垢がたまるとお口や身体のトラブルを引き起こします
歯垢は、食べかすではなく細菌の塊です。歯や歯ぐきだけではなく、全身にも悪影響を及ぼします。
1.むし歯
歯垢がたまるとむし歯菌の活動が活発になり、酸を生成します。すると、酸により歯が溶かされて、むし歯になります。
2.歯周病
歯周病の主な原因は、歯垢です。歯垢の中で増殖した歯周病菌は、歯と歯ぐきの間に入りこみ、歯ぐきに炎症が起こります。歯周病が進行すると、歯ぐきからの出血や歯を支えている顎の骨が溶けてしまいます。
顎の骨が溶かされて歯を支えきれなくなると、グラグラと歯が動いたり、歯が抜け落ちてしまったりすることのある恐ろしい病気です。歯周病は、末期になるまで自覚症状がほとんどないため、気が付いたときには、かなり進行していることがあります。
3.口臭
歯垢の中にいる細菌は、ガスを発生させ、口臭の原因になります。また、歯周病が進行している場合は、さらに強い口臭で、人から指摘されることがあります。
4.全身疾患
歯垢が原因となり、歯周病にかかると、お口の中だけではなく全身にも悪影響を及ぼします。なぜなら、歯周病菌は、歯ぐきなどの組織を通じて血管の中に入り込み、全身に運ばれることがあるからです。
脳梗塞、誤嚥(ごえん)性肺炎、心臓病、糖尿病、骨粗しょう症、早産・低体重児出産などを引き起こすリスクがあります。
歯垢をためないように歯科医院で取り除こう
歯垢がたまっていても、痛みなどの自覚症状がないため、放置される方がいらっしゃいます。しかし、歯垢は歯周病の主な原因とされており、放置しておくと歯周病が進行する恐れがあります。歯磨きだけでは、取り切れない歯垢や歯石は、定期的に歯科医院で取り除いてもらいましょう。
すでに、歯石がたまっている方は歯周病が進行しているリスクがあり、当院では以下のような歯周病治療をします。
軽度の歯周病の場合
まずは、歯科衛生士による歯磨き指導を行います。歯垢は8時間、歯石は2日程度で作られてしまうため、ご自身でのケアが大変重要です。歯磨きの仕方やデンタルフロスなどの清掃補助用具の使い方をお伝えしますので、なるべくご自身で歯垢を取り除いていただけるようになっていただきたいと思います。
次に、歯に付着している歯垢(プラーク)や歯石を専用の機器で取り除くスケーリングを行います。その後は、ご自宅での「正しい歯磨き(セルフケア)」と、どうしてもご自身では取り除けない部分は歯科医院で受ける定期的な「歯のクリーニング(プロケア)」のどちらも行うことが大切です。
重度の歯周病の場合
軽度の場合の治療法で改善が見込まれない場合は、外科手術をします。
歯と歯ぐきの間の病的な溝である、歯周ポケットの深さを改善する手術や、歯周病により失われた顎の骨を再生させる「再生療法」を行います。
もちろん、お口の中にトラブルはなくても、定期的に歯科医院で検診を受けることが大切です。ご自宅で行う「セルフケア」と歯科医院で「プロケア」を定期的に受けて、お口と全身の健康を守りましょう。
午前診療時間:10:00〜13:30
午後診療時間:15:00〜19:00
土曜日 10:00-13:00/14:00-17:00
休診日:水曜午後・日曜日・祝祭日
甲府市向町290-3
JR中央本線「酒折駅」より車で7分、「石和温泉駅」より車で10分
和戸通り、向町二交差点近く
Honda Cars山梨和戸店さん向かい
ケーヨーデイツーさん隣
甲府向町歯科 院長 磯部 明夫