口の中が粘つく原因と治療法
「最近、お口の中がベタつく……」と、お口の粘つきが気になっている方はいらっしゃいますか。
「夜寝る前に歯を磨いているのに、起きたときにお口が粘つく……」
「日中でもお口がネバネバして、なんだか気持ちが悪い……」
そんなお口の粘つきには、どのような原因が隠れているのでしょうか。
お口の粘つきの原因は?
【歯周病の進行】
慢性化しているお口の粘つきは、歯周病の進行が原因かもしれません。
歯周病がひどくなると、感染しているところから「歯肉溝浸出液」という、粘度の高い液体が染み出てきます。
これは、お口の粘つきや口臭の原因になっていて、歯周病が進んでいる目安のひとつです。
歯周病は、末期になるまで気づかないことが多いため、お口の粘つきや口臭がひどくなった、という方は歯医者で歯周病チェックを行うことをおすすめします。
【細菌の増殖】
大人のお口の中には、むし歯の原因菌である「ミュータンス菌」のほかにも、300~700種類の細菌が1000億個以上生息しているといわれています。
そして、お口の粘つきのほとんどが、細菌の増殖によるものです。
特に、起床時に粘つきを感じることが多くあります。
それは、睡眠中に唾液の分泌が減少するため、お口の自浄作用が弱くなり、口内の細菌が増えるからです。
【お口の乾燥】
年齢を重ねたり、常用する薬が増えてくると、唾液量が減るのでお口の中が粘つく原因になります。
お口の中を乾燥させないような生活を送るように心がけましょう。
唾液には、お口の中の清潔を維持するはたらきがあります。
また、唾液には食べものを飲み込みやすくする役割もあります。
シニアのお口が乾燥していると、食べものをスムーズに飲み込みにくくなり、誤嚥性肺炎を引き起こす恐れもあるため注意が必要です。
【ストレス】
緊張しているときや不安なことがあると、お口の中がカラカラに乾き、ネバついた経験をされたことはありませんか。
人はストレスにさらされると、唾液に含まれる「ムチン」というネバネバした物質が増加します。
この「ムチン」には、消化器官である胃腸や口内の粘膜を守る役割があります。
そのためストレスを感じると、ムチンを多く分泌させて唾液をネバネバした状態にし、ストレスから身体を守っているのです。
このように、緊張しているときにお口が渇き、粘つくのは正常な反応です。
ただ、慢性的にストレスを感じ、常にお口が渇いているようなら、ストレスを軽減させる対応が必要でしょう。
お口の粘つきを軽減させるセルフケア
お口の粘つきは、歯周病の進行のほかに、お口の乾燥や唾液の減少も大きな原因となっています。
唾液が減ることで口内の細菌が増え、お口の粘つきにつながっているからです。
お口の粘つきを軽減させ、唾液の分泌を促進するために、日常生活の中でできるセルフケアを紹介しましょう。
・歯磨き
細菌の増加を抑える基本の対策は「毎日の歯磨き」です。
寝る前には歯ブラシのほかに、デンタルフロスや歯間ブラシを使ったお口のお手入れをおすすめします。
歯と歯の間の食べかすを取り除き、磨き残しをできるだけなくすようにしましょう。
・よく噛んで食べる
噛む回数が多いと唾液の分泌が多くなります。
厚生労働省でも「1口30回以上噛みましょう」という「噛ミング 30(カミングサンマル)」という運動を推進しています。
よく噛むことは、唾液の分泌が促進されるほかにも、食べ過ぎを抑えて肥満を防止する、お口周りの筋肉を鍛えて豊かな表情を作るなど、さまざまなメリットがあるのです。
(参考[https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/07/dl/s0713-10a.pdf]:歯科保健と食育の在り方に関する検討会報告書「歯・口の健康と食育~噛ミング 30(カミングサンマル)を目指して~」 より)
・しっかり水分をとる
水分をしっかりとることも大切です。
唾液の分泌量は1日で1.5Lといわれています。
同じぐらいの水分を十分に摂取しなければ、唾液も作られにくくなります。
意識して水分をとるようにして、唾液の分泌を促進するようにしましょう。
・唾液腺マッサージ
唾液腺マッサージも効果的です。
唾液腺というのは、唾液を作る組織のことで、耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)舌下腺(ぜっかせん)の3つのポイントがあります。
耳たぶの前あたり、下顎の骨の内側のあたり、下顎の先のとがったあたりを、ゆっくりと力は入れずにマッサージして、唾液の分泌を促しましょう。
・禁煙
タバコの煙に含まれる、ニコチン、タール、一酸化炭素などの有害物質によって、口内の血行が悪くなり、唾液の分泌機能が低下する原因になります。
さらにお口の中が渇いている状態でタバコを吸うと、口内の粘膜が荒れることにつながります。
お口の乾燥が気になる方は、本数を減らす、禁煙するなども検討しましょう。
・リラックスして過ごす
ストレスも唾液の分泌を減らす要因のため、できるだけゆったり過ごすようにしましょう。
しっかり食べて、しっかり眠るなどの生活リズムを整え、外に出てゆっくり散歩するなど、リラックスできるように試してみましょう。
歯医者でのプロケアでお口の粘つきを緩和させる
お口の粘つきが気になる方は、ご自身でのセルフケアにプラスして、歯科医院で相談してみましょう。
プロの目でお口のチェックを行い原因を突き止め、お悩みの症状を解決できるようにサポートいたします。
当院の定期検診では、むし歯や歯周病を確認し、ブラッシング指導やクリーニングなどを行いっています。
毎日を健康に過ごし、お口の清潔を維持できるようにアドバイスいたしますので、お気軽にご来院ください。
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甲府向町歯科 院長 磯部 明夫