歯に歯垢が付着するように、入れ歯にも歯垢が付着します。保険診療でつくる入れ歯には歯科用プラスチック製の部分が多く、そこには小さな穴が無数にあいています。吸水性があるため、無数の細菌やカビ(真菌)が繁殖しやすい環境です。お手入れ不足になると、お口の中の細菌量が増え、義歯性口内炎や口臭、誤嚥性 (ごえんせい)肺炎の原因となります。細菌の繁殖を避けるため、毎日のお手入れは欠かせません。
誤嚥性(ごえんせい)肺炎に関して、入れ歯を毎日は清掃しない人の場合、過去1年間の肺炎発症のリスクが1.3倍、75歳以上の人に限ると1.58倍高いということが明らかになっています。(2019 年:東北大学大学院歯学研究科が国際科学雑誌Scientific Reportsに掲載)
(1)ぬるま湯に入れ歯洗浄剤を溶かし、入れ歯を浸します。
(2)入れ歯用ブラシか、柔らかい歯ブラシを使って、入れ歯をブラッシングし、付着している歯垢を落とします。
(3)流水ですすいでください。
それぞれの洗浄剤の用法に従って、正しくお手入れをしてください。洗浄の際、歯磨き粉は使わないでください。歯磨き粉には研磨剤が含まれていることが多いので、入れ歯の表面に傷が付いてしまいます。傷ついたところに汚れや細菌が付きやすくなるので要注意です。毎日必ず正しい方法で洗浄し、総入れ歯または部分入れ歯を清潔に保ちましょう。