口腔機能低下症
ご自身やご家族の方に、「食べものを飲み込みにくい」「食事中にむせる」といった症状はありますか？
年齢とともに、食べにくさや飲み込みにくさを訴える方は、増加します。
ほかにも、「滑舌が悪くなった」「口の中がかわく」といったお悩みも増える傾向にあります。
「年のせいだから仕方ない」とあきらめたり、ガマンしたりされている方もいらっしゃるでしょう。
しかしながら、お口のお困りごとをそのままにしておくと、お口だけでなく全身の健康にも悪い影響を及ぼすことがわかっています。
口腔機能低下症とは
加齢だけでなく、疾患や障がいなどが原因で、お口の機能が低下している病気が「口腔機能低下症」です。
そのままにしていると、咀嚼（そしゃく）や嚥下（えんげ）がうまく行えなくなり、全身の健康を損なったり、社会との関わりが希薄になったりする恐れがあります。
お口には、「話す」「食べる」「飲み込む」「笑う」など、さまざまな機能があります。
どの機能が低下しても、日常生活に支障をきたすことになるでしょう。
具体的には、
- 硬いものが噛みにくい
- 食事に時間がかかる
- 食欲がなくなる
- 食べこぼしが増える
- 口の中が汚れている
- 薬が飲み込みにくい
- お口の中が乾燥する
といった症状があらわれると、「口腔機能低下症」の可能性があります。
思うように食べられなくなると、食事が楽しめなくなり、食への意欲が低下します。
食べにくいからと肉類を避けていると、タンパク質の摂取量が減り、筋力が低下し、日常的な動作がままならない状態になりかねません。
また、「話す」や「笑う」といった事に自信がなくなると、人とのコミュニケーションを避けるようになり、外出する気力が失われていきます。
このように、お口の機能低下によって、全身が弱っていくのです。
口腔機能低下症の原因とは
お口の機能が低下する原因のほとんどは「加齢」です。
年齢とともにお口周りの筋力が低下し、動きにくくなることで、噛み砕く力や飲み込む力が弱くなります。
また、虫歯や歯周病が原因で歯を失ったり、合わない入れ歯をガマンして使っていたりすると、かみ合わせが乱れて、しっかりと噛むことが困難になります。
不十分なお口のケアが原因で、汚れがたまり、お口のトラブルを引き起こしている可能性もあるのです。
口腔機能低下症の原因は、一つではなく、患者さんによって異なりますので、まずは、歯科医院にてしっかりと検査して原因を特定することが大切です。
口腔機能低下症は歯科医院と一緒に予防しましょう
口腔機能の低下は、ご自身では判断が難しいものです。
そのため、自覚症状がある場合はできるだけ早く、また、お口に違和感がなくても、定期的に歯科医院を受診してお口のチェックを受けることが大切なのです。
歯科医院では、お口の状態を確認するために、さまざまな検査を行います。
- 口腔清掃状態
- 口腔乾燥状況
- 歯の残存数・咬合力
- 咀嚼能力
- 舌圧
- 嚥下機能
などを確認し、お一人お一人に合わせたケアをご提案します。
ご自身でできる運動やケアをアドバイスしますので、くり返し行うことで、口腔機能低下症を改善しましょう。
口腔機能を維持するためにできること
一度低下した体力や筋力を回復するためにはリハビリが大事ですが、下がった体力や筋力を回復するのはとても大変です。お口の機能も同様で、まずは、機能を維持することが先決になります。
残っている歯の数が多い方は少ない方よりも咬合力や咀嚼能力が高いですし、咬合力の高い方は舌の力も高い傾向にあります。
お口の機能を維持するためには、残っている歯を長持ちさせること、お口の中を清潔に保つことが大切です。
そのために、
- 毎日すみずみまで歯を磨く
- 歯間ブラシやデンタルフロスを活用する
を徹底させてください。
ご自身の今ある歯をできるだけ長く、健康な状態で残すためにも、虫歯や歯周病を予防しましょう。
年齢が上がるとともに、歯を失う確率は高くなります。歯を失う原因の1位と2位は、歯周病と虫歯です。
歯周病と虫歯の原因は、歯垢や歯石です。
年齢とともに、歯の表面を覆っているエナメル質がすり減ったり、歯ぐきが痩せたりするので、虫歯や歯周病を引き起こす細菌に感染しやすい状態になります。お口の中を洗浄する働きを持つ唾液の分泌量が低下することで、虫歯や歯周病になりやすくなるのです。毎日しっかりと、お口の中の汚れを落とすことで、虫歯や歯周病になるリスクを下げることができます。
また、残念ながら、歯を失った場合でも、そのままにしておくことさらにお口の機能を徐々に低下させる恐れがありますので、入れ歯やインプラントをはじめとする治療をしっかり行うことで機能維持を図ることも大切です。
お口の機能低下が認められた場合、口腔リハビリや口腔体操を行うことを検討します。
口腔トレーニングを行うと、舌やお口周りの筋肉が活性化し、食べ物を噛んだり飲み込んだりする動作がスムーズになります。
お食事の前に、唾液腺のマッサージや嚥下体操を行って、お口や頬の筋肉を動かすことで、食事を飲み込みやすくなります。
口腔機能低下に関するお悩みごとは甲府向町歯科にご相談ください
人生100年時代とよばれるようになり、お口の健康寿命についても関心が高まっています。
いつまでも、健康的で充実した日々をお過ごしいただくためにも、適切なケアで口腔機能低下を予防しましょう。
当院では、お一人お一人のお口の状態や体調に合わせて、取り組めるトレーニングをアドバイスします。
院内は土足OKで、車いすをご利用の方もそのままお入りいただけます。
ご家族のお口のケアに関するお悩みも、お気軽にご相談ください。
午前診療時間:10:00〜13:30
午後診療時間:15:00〜19:00
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甲府向町歯科 院長 磯部 明夫